学生をより満足させるための、 日本語教師のマインドセットとは ウェビナーレポート

11月24日(木)Linc主催ウェビナー

学生をより満足させるための、

日本語教師のマインドセットとは

を開催し、日本語学校の先生方より合計34名にご参加頂きました。(ZOOMにて26名、Lincのオフィスにて8名)

今回は、東京中央日本語学院 教務主任 生方哲男氏をお招きし、発表いただきました。

1.私たちが大切にしているもの

学習者のゴールに必要なものとして以下二つのことを大切にしています。

①教育品質

②学習者モチベーション維持

コロナの影響によるオンライン授業を経験し、良い授業だけでは満足しないこと、学生と懇親を深めることが重要だと気づきました。

 

2.なぜ、「教育品質と学習者モチベーション維持」を大切にしているのか

2020年の留学生における中途離脱者(満期在籍しなかった学生)の離脱理由内訳

 

①早期進学  44.3%

②就職    3.0%

③帰国    49.1%

④その他   3.6%

 

上記から気づく点として、“日本に来た目的を果たせることなく”日本・学校を離れていっている方が一定数存在していることがわかります。

退学・帰国理由はあくまで結果であり、

・学校-塾-自宅を往復する生活

・進学に関する不安

・異国での生活に対する不適応

・出席不良から授業についていけなくなる

などで精神的なプレッシャーや不安を感じ、退学や早期帰国に至ってしまう学生が多いと考えています。

 

  1. 私達が向き合っていること

校内での取り組みとして、「学習者の成長を信じ、最後まで伴走する」サービス思想を持っています。学習開始前に目標までのギャップを明確化し、モチベーションが上がる下がるに関わらず、学生を支援しています。

4.学習ゴールに対するマインドセットの弱さの原因

①学習者に対する目線(無意識のLook down)

この表は、在留外国人の構成比を表したグラフです。日本語学校の学生にあたる留学の割合は8.1%、この少数の数字から、お客様目線ではなく、上から目線で指導してしまうこと、下記の3点含め、教師の留学生に対する認識の低さにも原因があると考えます。

 

・学習を辞めない存在(希望進路や両親、仲介の存在)

・自分は先生であり、相手は学生。”お客様”としての考えが薄いこと

→ 結果として、無意識にLook downをしてしまっており、離脱時も学生の事由(他責)にしがち

 

②養成講座で教師(先生)マインドが作られてしまう

日本語教師養成講座も担当されている生方先生は、養成講座の履修内容にも原因があると考えています。教師としてのスキルを学ぶことはできたとしても、指導する姿勢、つまりマインドについて学ぶ機会はありません。

 

③入社時研修におけるスタンス研修の不徹底

④自らを省みる機会の少なさ

パンデミック前

学習者増による日本語教師不足

→研修を実施する

時間の不足、振り返りなどを行う機会の不足

 

パンデミック後(現在)

失業→転職による日本語教師の不足、入国者増による日本語教師の不足

→研修を実施する

時間の不足、振り返りなどを行う機会の不足

 

⑤教師が目標となる指標(KPI)を持っていない

⑥学習者とのゴールに対する合意形成ができてない

⑦しっかりとした学習者評価がない

本来あるべき姿は、教師が年度末にKPIを設定すること、学習者に対してもゴールの確認だけで済ませるのではなく、学習中の過程においてもその都度学習者に対して評価をしていくことが重要です。

  1. 解決に向けた取り組み

最後に、校内での取り組み例をご紹介致します。

・新任研修

は・OJTの実施

導入受け入れ研修の目的は、下記の2点です。

 

1)TCJの教師として働くためのスタンス・考え方を理解する 

2)業務に必要なツールやオペレーションを理解する

 

【研修内容】

・学校の仕組みと部署について

・Zoomによるオンライン授業の方法

・ハイブリッド授業の方法

・コース、商品、プログラムの説明

・アセスメントの実施方法など

・学習者アンケート・授業モニタリング(上記スライド参照)

・KPI・ミッションの設定

 

 

教務全体のKPIの項目

・出席率

・離脱率

・進学実績

・JLPT保有率

・学習プランシート利用と学習者面談の徹底

・共通ツールとして学習プランシートを使用

・各学期の終わりに振り返り面談を徹底して実施する

 

■ディスカッション

発表後、「学生をゴールへ導いているか」というテーマでディスカッションを行っていただきました。具体的な内容は、下記の通りです。

 ■ディスカッション内で出た意見(一部)

・学生から明確なゴールを聞き出すのが難しい。進学指導の場合、詳しい希望を聞き出す知識が不足しているのでうまく聞き出せない。両親に言われたからという理由で日本留学したという学生は自分の意志や考えを持っていないので余計に難しい。

・時間経過とともに、学生がお客さんとして接する認識が薄れてしまう。意見が強い学生もいるので平等にすることも難しい。

・「日本人化」させたい教師のモチベーションに疑問を感じている

・学校が持っているコンテンツを多様化させる必要があると思う

・留学生と社会人学生のマインドセット方法はまったく違うことを理解すべき

■本件についてのお問い合わせ

①お問い合わせ先:https://www.linc-info.com/contact/

②電話でのお問い合わせ:03-6240-2155(株式会社Linc)まで直接お問い合わせください。 

ご不明な点等ございましたら遠慮なくお申し付けください。

 ■株式会社Lincについて

Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。またLincはこれまで投資家から累計2億円近くの資金調達を完了しており、この話題が日本経済新聞にも掲載されました。