留学事業における収益性改善について ~株式会社と学校法人からみる取り組みの違いとは~ ウェビナーレポート

6月29日(水)Linc主催ウェビナー

留学事業における収益性改善について
~株式会社と学校法人から見る取り組みの違いとは~

を開催し、日本語学校の先生方及び日本語教育関係者合計46名にご参加頂きました。
(ZOOMにて39名、Lincのオフィスにて7名)

今回は、東京中央日本語学院 学院長社長執行役員 中澤匠氏と、日本ITビジネスカレッジ 理事長 田中旬一氏をお招きし、発表いただきました。

1.東京中央日本語学院 学院長社長執行役員 中澤匠氏

■なぜ収益性改善が必要なのか?

収益性改善が必要な理由は以下と考えています。

▶経営の安定化

▶事業成長のボトルネック解消
・「やりがい」だけでなく、「金銭的報酬」という正当な対価を整えることで、従業員コミットメント向上
・魅力的な報酬水準による優秀な人材の流出防止、外部人材の確保
・利益の事業内再投資により、さらなる顧客価値向上の実現

▶経営者自身の評価
・経営者/経営幹部としての報酬(企業オーナーであれば株式価値最大化)
・利益成長の実績=キャリアにおける足跡
・ステークホルダーへのリターン還元による良好な関係性構築

業界の構造的な問題の解決に・・・
・労働集約的で、生産性が低い業界構造
・経営ガバナンスが弱い、労働分配に対する意識も希薄
・非常勤講師が多く、職能の積み上げが弱い

■どこを改善ポイントと考えるべきなのか?

募集人数や固定費などは各校所与の条件や、経営方針などがあると思いますので、今回はどの学校にも共通する視点として、以下3つを軸に考えてみました。

■売上改善

①学費単価(プライシング)
東京中央日本語学院(以下、TCJ)では、今年の7月より学費の価格を値上げしました。

ではなぜ、価格を上げるのかといいますと、プライシング(単価)による利益向上効果が最も大きいからです。

②クロスアップ/セル
留学生はお金がないのではなく、時間がない、と考えています。留学事業以外では、進学対策授業や就職支援等あらゆるサポートを展開している学校さんも多いかと思います。留学事業以外でいかに日本語学習を促進していくかが重要だと思っています。

■変動費抑制

・WEBマーケ
SNS運営、広告の使い方など

・ブランドアクティビティ
学校の認知度、知名度UP、信頼度をあげるための取り組み

・在校生からのレコメンド/紹介

Lincと協働で、在校生のコミュニティ構築をおこない、
在校生向けのイベントを展開しました。参加学生が自らSNSで拡散していくか、UGC創出によるオーガニック認知拡大を目指しトライ&エラーを重ねてきました。
コミュニティのつくりかた、学生に拡散していくにはどういう仕掛けを作っていくのか等学びが得られました。

■収益管理について

東京中央日本語学院では、事業別の収益管理を行っています。
縦割りになってしまうことで横の連携はしにくくなりますが、推進力(売上を上げていく)には事業単位で組織をマネージメントし、収益管理を行っていくことが最適だと考えています。

2.日本ITビジネスカレッジ理事長 田中旬一氏

■募集方法のアップデート

①留学生関連コミュニティとの協力

留学生関連コミュニティのひとつである一般社団法人「You Make it」と協力し、留学生を支援していくことで、募集に繋げています。この団体はフォロワーは約19万人、企業からクラファンを通じ寄付を受けています。

②IT等専門的な組織との協力

中国IT企業の一つである、華為(ファーウェイ)社と連携し、ファーウェイ社の研修が受けられるカリキュラムを校内で展開しています。世界のIT会社と連携することで、留学生が世界で活躍できる人材を育成できるだけでなく、このカリキュラム自体が募集戦略の一つとして活用しています。

③各県専各とのコラボ

岡山県専修学校各種学校振興会に加盟し、コラボレーションしています。多言語のWEBサイト、動画、アプリを作成し、岡山県の各校と共同でプロモーションを行っています。岡山県を通じて、文科省の支援ももらいながら、直接募集に繋げています。

■今後の展望

今後、AIが発達すると日本語教師は不必要になるのか?と問いかけたことがあります。DX化、AIができることのメリットはコミュニケーションが増えることだと考えています。ただし、人間にしかできないこともあります。人間的な教育モチベーション維持、メンタル面でのサポートに関しては人間だからこそできることだと考えています。

1.欧米留学との比較

①英語教育の重要性
英語は国際的な共通言語として広く使われており、グローバルなキャリアやコミュニケーションにおいて必要不可欠なスキル。欧米等、多くの国では英語が公用語として使用され、英語環境での留学は英語力の向上に繋がる。一方、日本では英語教育が十分に普及しているとはいいがたい。

②多様な学術環境と専攻の選択肢
欧米の大学は多くの学術分野で高いレベルの教育を提供しており、研究の評価も高い。また、欧米の大学は国際的な教員や学生のネットワークを持っており、異なる文化的背景の人々との交流が期待できる。これに比べ、日本では学術環境や専攻の選択肢が限られていると感じる人もいる。

③語学・文化の壁
日本語は欧米の言語と比較すると学習の難易度が高いとされている。また、日本の文化や社会の特徴も異なるため、留学生にとっては馴染みにくい場合もある。これに対して、欧米の多くの国では英語が使われており、文化的な親近感を感じやすいといわれることもある。

2.日本留学の価値とは(欧米留学との違い)

日本の魅力をリストアップしてみると、日本にはまだまだ伝えきれていない魅力がたくさんあることに気づきました。直接日本語学校には関係ないことではありますが、なぜ日本に来るのか?という部分では、留学のモチベーションに繋がるかと思います。

1.文化
①リベラルアーツ:歴史、寺社、自然、食
②サブカル:ゲーム、漫画アニメ、オタク産業、キャラクタービジネス
③スポーツ:大谷選手、剣道等の武道ツーリズム

2.工業製品 (他国と比べてもまだまだ日本は優位性を保っている)
①塗料、センサー、耐震、自動車ブレーキ他関連、化学素材、FA業界(ベアリング、リニアガイドなどの機関部品、電子基盤実装機や半導体製造装置)
②印刷や吸湿などに関する高分子素材の開発
③基盤や精密機械の製作機器開発などテクノロジー分野

3.生活、癒し
①平和、安心、安全
②Hotel resort spa
③高度医療:医療ツアー

■本件についてのお問い合わせ
①お問い合わせ先:https://www.linc-info.com/contact/
②電話でのお問い合わせ:03-6240-2155(株式会社Linc)まで直接お問い合わせください。
ご不明な点等ございましたら遠慮なくお申し付けください。

■株式会社Lincについて
Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。またLincはこれまで投資家から累計2億円近くの資金調達を完了しており、この話題が日本経済新聞にも掲載されました。