セミナーレポート:成功事例から学ぶ外国人材定着の秘訣~外国人社員比率60%で回す社内ルールとは〜

セミナー概要
株式会社Lincは、外食業界の人事担当者を対象に、同社で外国人材の活用を推進されている山田様をゲストにお迎えし、外国人材の活用に関するセミナーを開催しました。山田様には、外国人材の活用における具体的な失敗談や成功談をお話しいただきました。
本セミナーでは、外国人材の採用・定着に向けたリアルな体験談が共有されました。
初めての採用で直面した退職の要因や、文化・制度面でのすれ違いを乗り越えるための取り組み、そして成功事例としての制度整備や現場との連携の工夫など、現場目線の貴重な知見が詰まっていました。
今後の人手不足を見据え、採用競争が激化する中で、外国人材との相互理解や、公平な評価制度、法令遵守の徹底が一層重要になることが強調されました。企業が「働かせてあげている」という目線ではなく、「共に働く仲間」として向き合うことの大切さも印象的でした。
今回の内容は、外国人材の受け入れに関わるすべての方にとって、実践的かつ示唆に富んだ学びとなるものでした。
登壇者
株式会社ディ・エー・アイ 豚旨うま屋ラーメン 事業本部 開発課 課長 山田 武永様
【経歴】
大学卒業後、アパレル・カフェチェーン等で勤務。現場での統括マネジメントを経験後、2018年株式会社ディ・エー・アイに採用担当として入社。外国人雇用は全く未経験の状態から、入社後すぐ翌年運用開始される特定技能制度にむけて、留学生アルバイト採用に着手。3カ月で50名の採用を実現し、2020年4月より2名の外国籍社員を特定技能1号で雇用開始。現在は、約50名の外国人を受け入れており、集客~入国まで海外から直接雇用できる体制づくりに着手している。採用以外にも、店舗開発・広報・企画等の領域も担当。
【会社概要】
社名:株式会社ディ・エー・アイ
所在地:愛知県春日井市
設立:1998年10月
愛知県を中心に豚旨(とんこく)うま屋ラーメン33店舗(直営12店舗 FC21店舗)、冷凍チャーハン事業と焼肉店1店舗を展開。
詳しくはこちらよりご確認ください。
https://www.umaya.co.jp/company.html
目次
1.外国人採用のきっかけと現状
2.初めての外国人採用(採用~課題)
3.課題を成功体験に変えたスクリーニングと制度構築
4.今後の外国人材活用の展望と推測
5.外国人材活用する上で大事なポイント
6.交流会
1. 外国人材の採用のきっかけと現状
将来の人材不足を見据え、外国人採用を始めたのがきっかけです。
2014年に4年ほどベトナム・ハノイにてうま屋ラーメンを運営しており、現地での出店経験から得たノウハウや、現地の文化に対する深い理解を、国内での外国人採用に活かそうと考え、特定技能運用を開始しました。
当時は、国内ベトナム人留学生の雇用を始めましたが、現在は特定技能1号外国人社員の比率が60.5%に達しています。現在はベトナム人材に加え、ミャンマー人材採用も強化しているそうです。
外国人材の活用が当初からうまくできていた訳ではなく、数々の失敗経験から外国人社員比率60.5%になったとお話いただいた山田様。特に、2024年には59名もの外国人を採用した一方で同じ年に18名の退職者を出してしまったことも。後述でこの点について詳しくご説明いただきました。
2.初めての外国人採用(計画~課題)
同社の外国人採用はアルバイト雇用からスタートしました。当時は、自社のノウハウ構築や事前にベトナム人材の働きぶりを確認できること、日本人社員がベトナム人材と共に働くことの抵抗をなくすのが狙いだったそう。調理器具やメニューの単語帳を作成し、コミュニケーションがとりやすい環境作りなど、様々なセミナーなどに参加し、収集した情報を実践していらっしゃったそうです。
3.課題を成功体験に変えたスクリーニングと制度構築
2024年に直面した大量の退職者の要因は脱退一時金制度でした。18名のうち15名が脱退一時金制度による退職でした。面接時のスクリーニングで会社から事前に脱退一時金を受け取るメリット・デメリットを伝えていなかったことだと振り返っていらっしゃいました。
また、退職した残りの3名の退職理由は、勤務時間のミスマッチ。店舗の状況や本人のスキルによっては夜勤が中心となる可能性があったのですが、そこを曖昧に伝えてしまい、結果的に夜勤メインの働き方になってしまうことはあったようです。
現在は曖昧な伝え方ではなく、入社前に『ずっと夜勤のスタッフもいる』と明確に伝えています。この点も面接時の事前スクリーニングで強化していらっしゃるようです。
4.今後の外国人材活用の展望と推測
これから人手不足が深刻化していく中で、外国人雇用の競争が激しくなっていき、集客方法を工夫していかないと良い人材を獲得することが難しくなるだろうと予測しています。
また、今後は採用内製化を進めていくために、海外からの直接雇用も着手したり、登録支援業務を自社支援という形で進めていく計画です。
5.外国人材活用する上で大事なポイント
最後に、今後の展望について3つのポイントを踏まえてお伝えしました。
・文化を知ろうとする
背景にある文化を知らないと相互理解も生まれず、定着にもつながりません。自身が外国人労働者の立場で何をしてくれると嬉しいかと、公平な立場で日々考えることが重要です。
・働いてもらうという感覚
働かせてあげているでなく、会社が抱える人手不足を外国人スタッフが助けてくれているという感覚を持って接します。
・法令遵守 あくまで日本人と同等の評価を
日本で働くからこそ、日本のルール(法令)をちゃんと守れるようにルールを基準をわかりやすく伝えられる体制作りが必要です。
6.交流会
セミナー終了後には情報交換や懇親会も行われ、参加者同士で理解を深める場となりました。