「withコロナの今、日本語学校に求められる改革と イノベーションとは」 〜カナン国際教育学院木下理事長とLinc仲CEOの対談〜 オンラインセミナーレポート
8月27日(木)Linc主催オンラインセミナー「withコロナの今、日本語学校に求められる改革とイノベーションとは 〜カナン国際教育学院木下理事長とLinc仲CEOの対談〜」を開催しました。
現在、コロナウイルスの影響で日本語学校の経営が厳しい状況におかれているかと思います。
学生が入国できない、オンライン・オフライン授業の連携が必要になった、募集面においても現地へ行って募集することも難しくなった等あるかと思います。このような課題がある中、少しでも皆様に情報共有できればと思いセミナー開催にいたりました。
今回、3年間かけて学校改革を進められてきた、カナン国際教育学院木下理事長にさまざまなお話をお伺いしました。
今回、ご好評により、当初予定していた50名限定のイベントから110名の方にお申し込みいただき、当日も約104名の方にご参加いただきました。
■PART 1「三年前に木下理事長がカナン国際教育学院の経営を引き継いだ際に、抱えていた課題について」
まずは、経営を引き継いだ直後に抱えていた課題についてお話いただきました。学校の差別化ができていない、目標設定がない、営業が属人的・・・など課題は山積みであったそうです。その課題に対して気づいていたスタッフ数名と一緒に、最初に2つのことを実施したとのことです。
1つ目は、現状把握のための「全従業員へのヒアリング」。その結果、従業員からの不満点、問題点が多く、課題が浮き彫りになりました。
2つ目は、「業界構造分析」。目指すべき学校を決め、その学校を徹底的に調査を行いました。
調査していくうちに、当時の学校との差が明確であったことに気づけた、とお話していました。
■PART 2「抽出された経営課題に対して、どういった軸で解決の優先順位をつけたのか、その方法とは」
問題点をクリアにしていくために、「強い組織の構築」「バックオフィスの強化」「強い営業チーム」「強い人材の育成」「目標設定」「進学に強い学校」この6つを骨子にして学校改革を進めていきました。特に注力したのが「強い組織の構築」と「バックオフィスの強化」の二つです。守りを固めて、そこから強い攻めに転じることができると考え、バックオフィス業務の強化には力を入れました。それまでは、前線で活躍してくれている職員が、バックオフィス業務も担っていて、負担になっていました。それをバックオフィスの強化により、教職員が自分たちの仕事に集中できる状況へとシフトすることができたのです。基本的に、課題解決に至るまでには4段階のステップを踏んで実行していました。(上記資料参照)そして、優先順位を、⑴すぐやるべき事、⑵必要だけどすぐでなくて良い事、⑶いずれあったら良い事の3つに分けて分類していました。
■PART 3「課題解決の実行に移った際に、どういった壁にぶつかり、そしてそれを突破したのか」
課題解決の際にぶつかった壁としては、営業拠点として中国に現地事務所を設立したが上手く行かなかった時期があったり、理事長自ら学生募集のリーダーになったが忙しすぎて途中で降りてしまったこともあったそうです。そこで、理事長が考えたのが、課題解決実行の際には、決定基準、アンダーライン(撤退基準)を決め、物事を決める際は、「独断では決めない」ということでした。理事長、校長、教務主任、教務副主任、学生部部長、管理部部長の計6名で重要な意思決定を行うボードメンバーを各部署の部長で決めています。下からの意見は積極的に取り入れ反映させ、悩んだらとりあえずやってみよう、という考えのもと、課題解決に向けて取り組んでいた、とお話していました。
■PART 4「この三年間数多くの課題を解決してきた中で、同じ日本語学校経営者のみなさんにもっとも共有しておきたい事例」
次に、木下理事長から3年間で実施したことを具体例を上げながら、8つの事例をご紹介いただきました。
①定量・定性目標の設定
今までなかった目標設定を中長期の目標、進学目標、試験目標など目標設定できるものを全て定量・定性目標を設定し、具体的な数字を決めていたそうです。(上記画像参照)
②体制の変更
三年前までは、前理事長のワンマン経営であり、下からの意見を言えないような環境でした。それから、木下理事長はボードメンバーを設立し、(前述パート3参照)独断ではなく、皆で決めて実行していく体制作りを整えました。
③情報伝達の変更
これまでは、口頭のみもしくはメールやLINEを使ったコミュニケーションが主流でしたが、エビデンスを残せないという課題もあり、口頭伝達のみを禁止し、議事録の作成必須、LINEを社内で使用禁止にし、今まで使っていたSlackもGoogle Chatへ変更したとお話されていました。
④目標設計の重要性
従業員に目標設計を習慣化させることを目的として、目標管理シートの導入し、その結果を元に、同じく新たに導入した給与体系表とセットで明示し、目標設計とモチベーションアップの維持に努めています。また、半年ごとに必ず面談をおこない、目標管理シートと面談に基づき評価を行っている、とのことです。
⑤会議体の設定
これまで不定期の会議や不要な会議など問題点が多かった会議体を変えようと、「1時間以上の会議は禁止」「報告だけの会議は禁止」「発言しない人は上司から厳重注意を受ける」などといった、社内会議のルール作成したそうです。
⑥個人のスキルアップ研修
基本的なビジネスマナーから、PCスキルアップまで、年間を通じて毎月研修を行い、個々のスキルアップを向上させているそうです。更に、従業員に対して決算報告を行い、学校の良いところ悪いところ包み隠さず公開することで、各部署の課題点を明確化しているそうです。
⑦トイレ掃除
もともと綺麗ではなかった校内ですが、「トイレは内情を表す」と言い聞かせ、トイレ掃除を徹底。その結果、身の回りも綺麗に整理整頓するようになり、ゴミが落ちていたら拾うようになるまで意識改革を遂げたそうです。
⑧可視化の徹底
掲示物、配布物、提案資料、誰が見ても直感的にわかるような資料の作成を目指しました。見る立場になって考え、営業するときにも役立てるような意識作りを目指しています。
⑨営業改革
これまでは口頭で説明する学生募集方法がメインでした。そのため属人化してしまいナレッジも残せません。そこで、ホームページや動画などの営業ツールを新たに用意し、従業員に対しても営業研修を行うことで、誰でも同じレベルで営業できるようになったと、お話されていました。
■PART 5「今後どのような学校経営の戦略をもっていらっしゃるのか」
今後の強化ポイントは、ICT教育開発をメインに、SNSを活用した情報発信、進学対策、この3つのポイントを重点的に行って行く予定だとお話されておりました。ICTへの取り組みに関しては、現在、来年3月のローンチに向けて準備を進めている段階とのことです。(上記画像参照)
■「10年後の日本語学校業界はどうなっていると思うのか」
日本語学校が今後なっていくべき姿というのは、日本語学校の立ち位置は今後も外国人留学生にとっての入り口であるからこそ、重要な存在であることには変わりない。もっと世の中にアピールできる存在でありたいし、日本語教育業界として引っ張って、日本語学校のプレゼンスを高めていきたい。そしてこの業界に従事している人たちが心から誇れる仕事になれるようにしたい、と木下理事長はお話されていました。
■最後に
対談は1時間ほどであっという間でしたが、参加された方より、「コロナ禍で日本語学校を変えたい気持ちはあったが、どう動けばいいかわからなかった気持ちに希望の光が見えた」「本当に有意義な時間でした。木下理事長の問題意識はまさに自分の学校に訴えかけられているようだった」等、弊社に沢山のお声をいただきました。このセミナーを通じて、日本語学校を経営していく上での気づき、参考になったところがあれば嬉しい限りです。今回のオンラインセミナーが少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
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Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。またLincはこれまで投資家から累計2億円近くの資金調達を完了しており、この話題が日本経済新聞にも掲載されました。
(※参考 日本経済新聞掲載記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58522900X20C20A4XY0000/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26848240T10C18A2XY0000/
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