「ベンチャーキャピタリストが語る〜成長するスタートアップとは〜」セミナーレポート
11月25日(木)にLinc主催セミナー【ベンチャーキャピタリストが語る〜成長するスタートアップとは〜】を開催しました。
当日は、会場・オンライン含めて約60名の方に参加いただきました。
今回は、AIS CAPITALの郭さん、East Venturesの夏目さん、Z Venture Capitalの李さんをお招きし、VCから見る成長するスタートアップ企業について語っていただきました。また、モデレーターには自身の会社を設立して間もないJourney CreatorsのWhiplusさんをお招きしました。
VCの最前線を歩んでいる人々のリアルなお話を聞く事ができる貴重な時間になったのでは無いでしょうか。
登壇者プロフィール
郭健 AIS CAPITAL
早稲田大学法学部卒、京都大学産官学連携本部研究員(非常勤)総合商社、証券系PEファームと中国の大手事業会社グループにおいて、一貫して事業投資(M&A)とベンチャー投資業務に従事した経験を持ち、特に日中両国のシナジー効果を追求した投資スタイルに長けている。日中産業界におけるネットワークを活かし、出資後の精力的なバリューアップ支援は投資先から高い評価を得ている。また、自らスタートアップの設立・事業経営に参画した経験も持つ。
夏目 英男 East Ventures
東京生まれ、北京育ち。幼少期の大半を中国で過ごし、2013年中国・清華大学に進学。2017年清華大学法学院及び経済管理学院(ダブルディグリー)を卒業後、同大学院公共管理学院(公共政策大学院)に進学。卒業後、日本の政府機関で日本と中国をつなぐ事業に従事する傍ら、中国の若者トレンドやチャイナテックなどについての記事を執筆。現在は独立系VCであるEast Venturesにてスタートアップへの投資や、投資後の支援を担当。
李 路成 Z Venture Capital
早稲田大学入学後、留学生向け教育サービスを立ち上げ、大学卒業後リクルートに入社。入社後はコンテンツSEO、UIUX改善、有料広告などデジタルマーケティング全般の業務に携わる。2020年1月よりZ Venture Capitalに参画。
Whiplus 株式会社Journey Creators 代表取締役(モデレーター)
華東師範大学情報学部、慶應義塾大学院メディアデザイン研究科卒。在学中合計3年間、カナダ、イギリス、アメリカなど合計6大学に交換留学。新卒はリンクアンドモチベーショングループで、グローバルHR部門のマーケティングチームの立ち上げを経て、日本初の組織改善クラウドシステム「モチベーションクラウド」に参画、グローバル版開発リーダーを担当。2020年11月より、株式会社Journey Creatorsを設立。日本最大級のビジネスコンテストTokyo Startup Gatewayにおいて、セミファイナリストに入選。
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Q1 ベンチャーキャピタルはどのような仕事なのか?
夏目さん:(スキルや仕事内容に関して)
- シードファンドとは、起業直前または初期に起業家へ投資するファンドを指す。仕事内容としては、ダイヤになりうる企業の原石を探していくこと。本日のようなイベントなどに登壇し、良い原石が無いかを探すことも大事な仕事である。
- この業界で大事なのはリサーチ能力。一つの新しいフロンティアテックに関してリサーチする能力が必要なので、自分たちの特徴をどう活かしてリサーチするのかが大事である。
李さん:(出身業界やその後のキャリアについて)
- VCは、アメリカ発祥の1990年代から流行ってきた成長中の企業を育てる一つの方法、いわゆるハイリスク/ハイリターンの形でしっかり育てる新しい業界。
- アメリカでは、金融のプロフェッショナルファーム人たち(金融の知識があるなど)や一度起業して、自分自身に出してたリターンを一つのファンドの原資にしてVCを立ち上げた方などがVCにジョインすることが多い。
- 日本は上記のような典型的な経験を持つVCの方は多くはない。日本VC業界では、ジャフコなど新卒からVCになれるキャリアや、銀行からファンド会社に出向するパターン、一度テックカンパニーでプロダクトデザインをする方などがVCになる。
Q2日本における現在のスタートアップの環境とは?(機会や海外との比較に関して)
郭さん:
- 日本においてスタートアップが生まれる数は約1千社。中国において生まれるスタートアップは約5万社。日本は起業したい人がすごく少ない。
- 起業したい人は少ないが、IPO(株式上場)のマーケットはそこそこいい。アリババのように超お金持ちではなくても、ホームランではなく、ヒットを打つという意味では、スタートアップを通して小金持ちになるにはすごくいい環境。
李さん:
- 日本のベンチャーマネー(年間投資されてる金額)は、一年間の資金調達額で5,300億円ぐらい(2020)。この数は中国のトップファンド2,3個を足した数で、規模は相対的に小さい。しかし10年前の日本と比べると、資金も10倍ほど増加し、起業環境が断然よくなった。
- 海外の機関投資家も日本の投資に関心を寄せている。
Q3 成長するスタートアップの特徴は?(経営陣とマーケットについて)
夏目さん:
- CEOに必要な素質。人を動かす/巻き込む力ー自分の事業内容にどれだけパッションを持って相手を説得できるか。
- 人を動かす、巻き込む力 – 自分ができない事をできる人をどんどん引っ張ってこれる、もしくはできる人を探す力が大事。まさにワンピースのルフィみたいな人。
- 自分の事業内容にどれだけパッションを持って相手を説得できるか – 自分なりにマーケットを説明できなければやらないほうがいい。スタートアップは未来を作っていく会社なので、自分なりの知識ナレッジを利用し、自分たちのロジックモデルを持って、そこの市場をしっかり分析し、投資家やユーザーに説明することが大事。
- スタートアップの組織カルチャーも大事。カルチャーを参考にする際に、メルカリがとても参考になる。カルチャーを作らずに前進するとチームの崩壊に繋がる。
- カルチャーはゆくゆく外のユーザーにも繋がる。企業は実際のプロダクトだけではなくカルチャーも売ってる。起業するときに成長したいのであれば、カルチャーを作ることが大事だ。
李さん:
- 成功しているスタートアップの共通点は、バランスを取れたチーム構成や、解像度の高い市場分析という2点がある
- チームの構成が会社の成長に大きく響く。自分の経験だと、過去似たようなバックグラウンドや考えを持つ三人で起業し、ほぼ同種なスキルセットが揃ってしまっていた。その結果、三人の目が届かない視野外のイベントが起こってしまい、うまく対処し切れなかった。そのため、それぞれのできる・できないをカバーし合えるチームを形成した方が企業の成長に関連性が高いと個人的に感じる。
- why you?/なぜ自分なら成功する、why now?/なぜ今のタイミング?を考えることが大事。詰まるところ、アイディアだけを持ってきてすんなりいくケースが極少なく、逆に前述の二つの質問を徹底的に分析できて、市場の存在する機会と自分が持つ強みを言語化できた方が成功する確率は高い。
郭さん:
- 在日外国人が起業して成功したケースを紹介。
- EPSホールディングス – 政府の国費留学生として留学に来て、東京大学に通いながら起業。自身が大学で学んだことを生かして起業している。留学生で、特に理系の場合は、大学院まで進学し、研究の成果を基に起業するのが成功しやすい。
- ポケカラ – 2018年にスタートし、3年間で300万人のユーザーを獲得している。同業界の市場では約80%示している。事業内容は中国の事業をそのまま日本に持ってきた形。このやり方は留学生の特権であり、強みとなる。
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イベントでは他にも多くの経験をシェアしていただきましたが、レポートはこちらで終了となります。
イベントの様子は録画アーカイブを配信予定です。動画を視聴したい方は、動画URLをお知らせしますので、以下の連絡先までご連絡いただけますと幸いです。
問い合わせ先:support@linc-info.co.jp
■最後に
今後もLinc Careerでは、インバウンドタレントと企業が出会うきっかけ作りや、インバウンドタレントが在籍している企業同士の交流機会を作っていきます。引き続きよろしくお願いいたします。
■当社について
Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。来る“大労働力不足時代”と日本社会のますますの多様化を見据え、Lincはインバウンド・タレントの留学、就職、生活全般といったライフイベントを支える各種サービスを展開するプラットフォームを目指しております。
■ 株式会社Linc企業概要
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