【開催レポート】1号新規受け入れ停止のいま、200名超を受け入れてきたPlan・Do・See Globalが明かす「特定技能2号」移行の壁と突破口
2026年3月27日、農林水産省と出入国在留管理庁は、特定技能1号(外食分野)の新規受け入れを4月13日以降、一時停止すると発表しました。受け入れ上限5万人に対し、2月末時点で約4.6万人(到達率92%)に達したことによる措置です。
長らく「求人票を出せば応募が集まる」在留資格として外食企業の採用計画を支えてきた1号という採用の選択肢が、突如として使えなくなる。今、多くの人事・経営層が「2号への移行を進めたいが、何から手をつければいいのか分からない」という状態に直面しています。
この課題に対し、外国人材200名超を自社で受け入れてきたホスピタリティ企業・株式会社Plan・Do・See(創業30年以上、年間売上500億円超、従業員約2,000名)から生まれた株式会社Plan・Do・See Globalと、株式会社Lincが7月30日に共催セミナーを実施しました。本記事では、その実務レポートをお届けします。
【知る】1号停止の今、なぜ「2号」なのか
特定技能2号は2023年6月にスタートした在留資格で、1号を修了した人材が次のステップとして目指すものです。1号との違いは大きく2点あります。
- 在留期間の上限がない(1号は最長5年)
- 家族帯同が可能(配偶者・子の来日が認められる)
一方で2号には、複数の従業員の指導・監督や店舗管理といった、1号にはない技能水準が求められます。
髙本氏はPlan・Do・See Global(2022年設立、現在4期目)の立ち上げ経緯にも触れました。特定技能人材の採用が初めてだったため、まずは海外の人材紹介会社40社ほどにヒアリングした際、外国人材のことを「在庫」と呼んだり、低賃金・過酷な環境でも「逃げ出さない」ことをアピールポイントにする企業が少なくなかったといいます。
少子化が進む一方で、日本の観光業は今後どんどん盛り上がっていくことが予想されていて、この業界は海外人材なしでは支えていけない。彼らは悪くないが、教育を受けたことがない人たちにこの業界を一緒に支えてもらうと考えると「このままでは日本の観光業・飲食業の価値を守りきれない」という危機感から、自社で人材を育成し紹介する事業を立ち上げた経緯が語られました。現在はインドネシア・スリランカ・ミャンマー・ネパールの4カ国で、日本語や試験対策だけでなく、調理・サービスの実技や衛生観念の授業を約1年間かけて行っています。
Plan・Do・See本体では現在、特定技能1号が250名程度在籍し、うち2号試験に合格して働いているのは全国で40名ほど。この数字が示す通り、1号から2号への移行は「一部の優秀な人材だけの特別な話」ではなく、多くの企業がこれから本格的に向き合う実務課題になっています。
【動かす】推薦基準がない――現場と経営を巻き込んだ社内調整のリアル
セミナーの核心は、Plan・Do・See本体で実際に起きた「Before→After」の生々しい実例でした。
Before:推薦基準が店舗マネージャー任せだった
2023年に2号制度が始まった当初、試験申し込みはフリー形式の推薦文で行う仕組みで、業務内容や推薦基準が明確に定められていませんでした。そのため同社では、2号への推薦を各店舗マネージャーの裁量に一任していたといいます。
その結果何が起きたか。髙本氏はこう振り返ります。「仕事はそこまでできていないけれど、その子がすごくいい子だから推薦してあげたい、というように、定量ではなく人となりなど定性面で推薦するパターンが多発していた」。
そして現場では、「あの店舗の〇〇さんは推薦してもらったのに、同じ店舗で働いている私は推薦してもらえない」といった不満の声が各所で噴出しました。横軸で基準が統一されていないことが、外国人スタッフの不信感につながっていました。

After:必須項目を「見える化」し、半期面談で意思確認
これを受けて同社が行ったのは、主に2つの施策です。
- 推薦の店舗マネージャー一任をやめ、2号に必要な必須項目をリスト化して見える化した(一度作れば全店舗へ横展開できる)
- 半年に一度の振り返り面談・目標設定の場で、2号取得の意思確認を必ず行い、「この仕事ができていないと推薦しない」という定量・定性の基準を明文化して本人に伝えた
象徴的なのが、実際に運用されている「スキルアップシート」です。入社1日目から31日目まで、身につけるべきことを細かく文字化したもので、当初は外国人スタッフ向けに作られましたが、好評だったため英語版・インドネシア語版も作成し、現在は日本人の新卒・アルバイトにも展開されています。
髙本氏は「日本人同士なら会話の中で暗黙に合意できることも、外国人材にはノンバーバルなコミュニケーションで伝わりにくい。だからこそ明確に文字にして渡すことがポイント」と強調しました。

【続ける】採用して終わりにしない――定着と中核人材化のための仕組み
2号取得はゴールではなく、長期戦力化・定着のスタート地点だという点も繰り返し語られました。
2号試験の受験には「日本国内の飲食店での指導者・管理者としての実務経験が2年以上」必要です。ここで髙本氏が注意を促したのが、「入社して2年」ではなく「指導・管理の実務経験が2年」という点。この誤解は現場でも頻発するといいます。Plan・Do・See本体では、おおよそ次のようなステップで育成を計画しています。
- 1年目:通常業務を身につける期間
- 2〜3年目:指導・管理業務を覚え、実践を積む期間
- 4年目:実務経験2年を満たし、2号試験を受験
試験自体も簡単ではありません。2号試験にはふりがながなく、衛生管理や食中毒対応に加え、売上・粗利の計算問題も出題されます。
育成した人材には、焼き場責任者、日本料理部門前菜責任者、パティシエ責任者、バー部門仕込み発注責任者、ランチタイム時間帯責任者といった役割を付与し、食材発注や衛生管理、後輩指導などの役割を明確にアサインしています。髙本氏は「この役割を会社が与えない限り、外国人スタッフは2号にチャレンジすることすらできない」と述べ、計画的なアサインの重要性を訴えました。
2号活用のメリットとして挙げられたのは、①5年上限がなくなることによる長期戦力の確保、②中堅層・現場リーダーの育成、③外国人材のキャリアアップが他の従業員のモチベーション向上にもつながる組織の活性化――の3点です。「2号を取るためにこの会社に残る」のではなく、「2号を取ってこの会社でどんなチャレンジができるか」を一緒に考える定期面談が、定着の鍵になると高本氏は締めくくりました。

まとめ:自社の状況に合わせた「次の一手」を
セミナー後半では、Lincから「育てる」だけでなく「迎える」という選択肢も紹介されました。特定技能2号は転職が可能な在留資格であり、自社での育成に時間をかけにくい企業には、すでに2号を保有する人材を市場から迎え入れる方法もあります。Lincが開催した特定技能2号特化の合同説明会では、参加企業から「原価率や人事評価制度など、経営視点での質問レベルの高さに2号のポテンシャルを実感した」との声が寄せられ、その場での一次面接まで完遂する仕組みが機能しています。

合同説明会実施レポートはこちら:https://www.linc-info.com/news/news-260721/
「育てる」も「迎える」も、目指すゴールは同じで、5年上限のない長期戦力の確保です。自社に合った次の一手を検討するにあたり、以下のような方は、ぜひLincへご相談ください。
- 1号の新規受け入れ停止を受け、2号移行の進め方を具体的に知りたい
- 推薦基準や評価制度が整っておらず、社内調整に悩んでいる
- 自社での育成と並行して、即戦力となる2号人材の採用も検討したい
Lincでは、2号移行・採用に関する個別相談を承っています。まずはお気軽にお問い合わせください。