日本語教育におけるオンラインとオフラインの共存 ~with コロナ、今後の日本語学校の歩む道~ セミナー実施レポート<PART2>
6月24日(水)Linc主催オンラインセミナー「日本語教育におけるオンラインとオフラインの共存~with コロナ、今後の日本語学校の歩む道~」を開催しました。日本語教育業界に精通した方々、独自の方針や改革を果敢に実施されている日本語学校経営者の方々をお招きし、さまざまなお話しをお聞きしました。
社会のルールや価値観すら変わりゆくコロナショックの中、日本語学校を取り巻く環境が激変しています。オンラインにて授業の対応をせざる得ない状況であったり、学生募集を始め、学校として多くの課題に直面されているのではないかと思います。そして、オフライン授業が再開し始めた現在では、今後の日本語学校経営のあり方についてこれまでとは違う取り組みや手法を考えはじめている学校も多いのではないかと思います。
Lincでは、このオンラインセミナーを通して、少しでも日本語学校の授業のあり方や経営についてみなさまをサポートできればとと思い、今回本セミナーを開催しました。
今回のセミナーには、大変ありがたいことに、当初予定していた30名を大きく超える100名の方にお申し込みいただき、当日も約100名の方にご参加いただきました。
2時間という限られた時間ではありましたが、日本語学校関係者のみなさまが今最も気になっているであろう、「日本語学校は今後どうなるのか?」という課題の解決のヒントになるセミナーになったのではないかと考えています。
今回はこのセミナーのレポートをPART1・PART2の2回に分けてお届けします。
PART1は、こちらよりご確認ください。
https://www.linc-info.com/news/webinar-with-corona-report-part1-20200629/
後半では、パネリストであるフライワイヤー合同会社石原大輔様、弊社仲の発表内容についてご紹介します。
■フライワイヤー合同会社 石原大輔様
オンライン決済サービス事業を展開しているフライワイヤーさんは、既に300校以上の学校で同サービスを導入されています。石原大輔様には、「これからの日本語学校に求められること」と題し、日本語学校に対して営業活動をされている石原様から見た、コロナウイルス感染拡大の状況下でわかったことから、今後日本語学校に求められることとは何か?をお話していただきました。
コロナウイルス感染拡大の状況下でわかったことは3つあり、それぞれについてお話いただきました。
1つ目は、渡航制限こそあるものの、大きなネガティブ要素がない、2020年7月生の申請数が前年と変わらないことから、日本への留学を諦めた学生が少ないことです。人気留学先である欧米諸国の学費高騰や、入国制限が厳しくなると、日本留学を希望する学生は今後ますます増えていく可能性があるとのことでした。
2つ目は、多くの日本語学校で取り入れているオンライン授業ですが、それのみでは満足できるサービスは提供できないことです。教師と学生のコミュニケーション不足の発生や、学生がフィードバックを受けることができないなどが発生し本来の目的(就職や文化体験)を達成できないのではないかととのことでした。
3つ目は、対面式の授業とITサービス/オンライン授業の組み合わせによる相乗効果の期待です。
どちらも活用することで、効率的な授業を提供できるとお話されていました。
これまでの日本語学校の立ち位置は、日本への入り口となる場、さらに、日本語教育の提供はもちろん、文化や生活体験といった体験価値の提供、進学情報の提供といった場です。しかし、今後はそれらに加えて学校の魅力をアピールしていくことが重要であるとのことです。数ある日本語学校の中で、それぞれの違いが学生にはわかないケースがあります。学校それぞれの良さがあってこそ成り立っているのに、伝えきれていない部分があります。学校の魅力をターゲット層にしっかり伝えられているか?そこで情報発信の大切さに改めて気づくことも多いと思います。学校側が吟味して具体的に魅力や実績を伝えていく。学校側では対応しきれないこれらの部分は、専門業者やITサービスを上手く利用し、一緒にやっていくことで、新しい試みや最新の状況をキャッチアップすることができるとお話しされていました。
■株式会社Linc 仲思遥
最後に、弊社仲より、「♯日本語教育withコロナ〜留学生の進学を支えたLinc Studyの進化と展望〜」と題し、会社設立の経緯から2つのサービス紹介(Linc StudyとLinc Career)、今後の展望についてお話しました。
創業の経緯として、まず下記の課題が挙げられます。
1.深刻な人手不足
2.インバウンド・タレント(*1)が増加する必然性
3.インバウンドタレントのライフイベントを支えるサービスインフラの欠如
(*1=優秀な外国人人材のことを、弊社ではインバウンド・タレントと呼んでいます)
これらの課題を解決するために上記ミッション・ビジョンを掲げ、Lincは誕生しました。
まずは「Linc Study」(以下、本サービス)のご紹介をさせていただきました。
このサービスは、日本は留学先として人気であるにも関わらず、進学に至るプロセスが煩雑であり、多くの課題があること感じたことから生まれました。。そこで弊社は、アジア圏諸国の中でも特に多い中華圏の学生をターゲットとし、留学生試験(以下、EJU)を始めとした教育プログラムを提供することにより、優秀層のインバウンド・タレントプールを形成しました。本サービスでは、EJU対策が可能なE-ラーニング、進学情報メディアを提供しています。登録ユーザーは、コロナウイルス感染拡大の状況でも増加しています。。2020年1月〜6月の間だけでも登録者は600名を超えており、そのうち来日前の中華圏の学生の関しては、前年比+300%伸びています。弊社の強みは、進学対策だけではなく、ユーザーを第一に考え、ユーザーとの関係構築を大切にしていることです。ユーザーと密接にコミュニケーションをとり、彼らからのフィードバックを元にプロダクト、コンテンツ、サービスの改善をしています。
次に、弊社もう1つのサービスである「Linc Career」のご紹介及びこれからの展望についてもお話しさせていただきました。
このサービスは、大学・大学院に在籍するインバウンド・タレントや若手社会人を、企業に対して、長期インターンシップ、新卒採用、中途採用にてマッチングさせるものです。
このサービスを導入した背景は、大学生の就職希望者は全体の6-7割に対し、実際就職できた学生は3割しかいないという現状があるため。企業側は一部のアンケートによると、5割の企業が外国人採用に積極的ではあるものの、正規採用にはなかなか繋がってないといった課題もあります。
現在の登録ユーザーは、中国語・英語・日本語の長けた高学歴外国人留学生・若手社会人を中心に登録者数が拡大しております。
長期インターンシップを例に挙げますと、弊社では「マッチングさせること」をゴールとはせず、最終的な「入社」をゴールにしています。「入社」に繋げるために、定期的な面談や、学生向けの研修など、ユーザーに対して継続的なサポートを実施しています。利用実績としては、現在、日系のスタートアップ・上場企業、日中ビジネスを展開している企業に利用していただいています。
今後の展望は、E-ラーニング、キャリア、生活、コミュニティ、パートナーシップの部分において「Linc Ecosystem」を形成していきたいと考えています。
業務提携も積極的に展開しており、住まい・ライフサポートでは、株式会社グローバルリンク・マネジメント(東証一部上場)と、就職・進学サポートでは、株式会社アクセス・グループ(東証JASDAQ上場)と戦略的業務提携を締結し、インバウンド・タレントにより良いサービスを提供できるよう進めています。
最後に、最近よくDX(Digital transformation)という言葉を耳にしますが、本来の意味では、オフライン、ハードウェアをオンラインやクラウドに移転していくという意味です。しかし、弊社では、Diversity Transformation(多様性の社会実装)という意味でも捉えています。目的は、インバウンド・タレントのライフイベントを支えることで多様性のある社会実装を目指していきたいと考えています。
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最後までお読みいただきありがとうございました。
今回パネリストの方々の発表を聞き、コロナウイルスの影響にかかわらず、オフラインとオンラインは一緒に活用していくべきであると感じました。オンラインサービスの利用はあくまで手段の1つであり、絶対的な救世主であるとも限りません。お互いの足りない部分を補完していくことで、より良い日本語教育の形が出来上がっていくのではないかと思います。
このセミナーを通して、みなさまにとって、今後の日本語学校の経営、教育面で何かヒントになっていれば、主催者側としましては嬉しく思います。
■本件についてのお問い合わせ
①お問い合わせ先:https://www.linc-info.com/contact/
件名に「日本語教育におけるオンラインとオフラインの共存」を記入の上、必要事項を入力してください。 追って当社よりご連絡差し上げます。
②電話でのお問い合わせ:03-6240-2155(株式会社Linc 斉川(さいかわ) まで直接お問い合わせください。 ご不明な点等ございましたら遠慮なくお申し付けください。
■株式会社Lincについて
Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。またLincはこれまで投資家から累計2億円近くの資金調達を完了しており、この話題が日本経済新聞にも掲載されました。
(※参考 日本経済新聞掲載記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58522900X20C20A4XY0000/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26848240T10C18A2XY0000/
会社概要等、詳しくはLinc公式ホームページをご確認ください。
https://www.linc-info.com/