日本語教育業界 × オープンイノベーション 〜未来の留学ニーズを構想し、日本語学校の付加価値を探す~ウェビナーレポート <パート1>
9月29日(水)Linc主催ウェビナー【日本語教育業界×オープンイノベーション〜未来の留学ニーズを構想し、日本語学校の付加価値を探す】を開催しました。
今回は、オフラインでは日頃お付き合いのある日本語学校及び大学の先生方17名をLincのオフィスに招待し、オンラインでは53名、合計70名の方にご参加いただきました。
8月に行われたディスカッションイベント※では、下記の3点を目的とし、議論を行いました。
①経営者として、5年後の日本語教育業界を予測し、それに対して、いま準備すべきことを考えること
②他校も含め、日本語学校自身で課題解決できること及び行政改革に依頼すべきことの洗い出すこと
③目先にあることにとらわれず、皆様で将来のことを考えること自体が重要であること
(※8月のイベント内容詳細に関しては、こちらよりご確認ください。)https://www.linc-info.com/news/event-report-20210908/
様々な意見が出た中で、参加者全員の共通認識として
・来日目的の多様化に対して対応していく
・学校内部、外部問わず「連携」が必要
・他業界を巻き込みながら、オープンイノベーションを起こすべき
といった業界全体で考えていかなければならない課題も生まれました。これから、具体的にどんな対策や行動をすれば良いのか考えていく必要があります。
・ディスカッションで上がったアイデアを元に、今後の経営方針についての課題提起
・長期的スパンで考えた場合、学校同士、外部とどう協力していくのか
今回は、先月のディスカッションイベントにもご参加いただいた中で、組織改革や将来の日本語教育業界に関して、特に印象深い意見をあげてくださった2名の先生方をお呼びし、お話いただきました。
今回はこのセミナーのレポートを2回に分けてお届けします。
前半では、東京中央日本語学院 執行役員 中澤匠氏の発表内容についてご紹介致します。
■テーマ①:「日本語教育機関の発展に向けた課題認識」
東京中央日本語学院
執行役員 中澤匠 氏
■オープンイノベーションとは何か
今回のウェビナーのテーマである「オープンイノベーション」ですが、オープンイノベーションとは何か、ご説明致します。
オープンイノベーションとは、製品開発や技術改革、研究開発や組織改革などにおいて、自社以外の組織や機関などが持つ知識や技術を取り込んで自前主義からの脱却を図ることです。
対義語でクローズドイノベーションという言葉がありますが、違いとしては、まずはマインド・考え方の違いです。クローズドイノベーションでは、イノベーションを生み出すのは自分たちであり、自分たちがやるべきと考えます。これに対し、オープンイノベーションでは、知識や情報などの良いものはどこにでもあり、社内外にこだわらずに自由に使うべきだと考えます。よって、オープンイノベーションではイノベーションの存在場所は組織の境界を超えて存在すると考える一方、クローズドイノベーションではイノベーションは社内に限定して存在すると考えます。
■パート1.東京中央日本語学院 執行役員 中澤 匠 氏
「日本語教育機関の発展に向けた課題認識」
今回のテーマのポイントとなるのは2つ、「学校としての取り組み」と「業界内または業界を跨いだ取り組み」がありますが、いずれも「顧客価値向上」として取り組んでいくものと考えています。
学校としての取り組み-顧客に選ばれるために取り組んでいること
◆良質なマーケティングチャネル
仲介依存型の集客構造の脱却
→どうやって自力で学生を獲得できるか、インターネットを通じて募集方法の幅を広げる等
◆顧客ニーズにあった商品ラインナップ
多様な学習ニーズに応じた商品開発
→商品の高付加価値化。外国人のもつ日本語学習課題に合わせて商品開発をしていく
◆付加価値の高い教育内容
プロダクト(日本語教育そのもの)の進化
→学校の教育内容が差別化できていないことが課題。どう差別化していくか
◆サービスクオリティマネジメント
サービス品質チェック体制の徹底
→学生の声を反映させ、授業のクオリティを保つためにモニタリングを実施。
◆目的志向の組織・人材
顧客価値とKPIとの接続
→教育、営業をKPIで管理。
◆担い手に対する動機付け
時間ではなく成果に対して支払う報酬制度
→学習ゴールの到達ではなく、時間で支払っている現状、学校内の報酬体系をどう変えていくか?
上流〜下流まで情報接続プラットフォームが不在
こちらの図は留学をイメージし、支弁者(保護者)もしくは受講者(学生)の留学〜就職までのプロセスを表した図です。(上記スライド参照)こうやって見てみると、上流から下流まで各プライヤーが存在していることで、非効率やバラツキが生じています。仲介によって情報量、対応やフォーマットがバラバラであり、各大学や専門学校から出てくる情報も学校によって異なるため、情報収集や情報整理に手間がかかっているのが現状です。将来的にフォーマットを統一しDB化するなどしてより効率的な方法を見つけたいと考えています。
また、就職先や進学先でも活躍できているかどうかなどを日本語学校が直接把握することができていないため、卒業後もトレースする仕組みを作っていきたいと話しておりました。
日本における外国人材には大きな課題が存在しています。日本語学校はそれぞれの領域に課題解決の余地や、それに関連するビジネスチャンスがあると考えています。行政、企業、学校同士で連携しつつ解決策を見いだせるか、例えば就職であれば必要なビジネス日本語能力をどうやって学校内で育成していくか、未就学児・就学児であれば地域行政とどう協働して公教育へのキャッチアップを支援するか等、課題感を共にできる皆様と一緒に考えていきたいと話しておりました。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
岡山外語学院 森下明子氏の発表についてはセミナー実施レポート(PART2)でレポートします。
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Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。またLincはこれまで投資家から累計2億円近くの資金調達を完了しており、この話題が日本経済新聞にも掲載されました。
(※参考 日本経済新聞掲載記事)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58522900X20C20A4XY0000/
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO26848240T10C18A2XY0000/
NEW! はたらくFUND(新生企業投資グループ及び一般財団法人社会変革推進財団)資本参画のニュースが日本経済新聞で取り上げられました!(2021.10.4付日本経済新聞より)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC015P40R01C21A0000000/
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