日本語学校は、 就職支援コースをどのようにデザインするか? ~就職支援コースデザインが 日本語学校と教師に与えるメリットについて考える~ウェビナーレポート
2月22日(水)Linc主催ウェビナー
日本語学校は、就職支援コースをどのようにデザインするか?
~就職支援コースデザインが日本語学校と教師に与えるメリットについて考える~
を開催し、日本語学校の先生方より合計53名にご参加頂きました。(ZOOMにて44名、Lincのオフィスにて9名)
今回は、FPT日本語学校 吉村悠氏をお招きし、発表いただきました。
■背景
コロナ禍以降、多くの日本語学校が学生集客に対して課題を感じ、サービスの差別化に強く目が向けられています。その中でも留学生向けの技人国や特定技能等の就職支援コース作りに力を入れられている日本語学校の話が多く聞かれます。
■目的及び期待
これを機会に日本語学校は「学習者」「企業」「地域」といったステークホルダーに対して、そのニーズを改めて見直すことでそれぞれの課題解決のためのプラットフォームとして機能できる可能性を持ちます。また、日本語教師もその動きの中でプラットフォーマーとして様々なキャリアデザインができる可能性があり、日本語学校の内外で更に活躍できるのではないでしょうか。
1.これからの日本語学校の価値を考える
日本語を学ぶことへの投資価値は、日本の経済水準や賃金水準の下降に伴い、下がっていると考えています。
2022年度はネパールからの申請数が全国的に増え、ベトナムの申請率が下がっています。日本語学校は、留学生にとって投資価値の透明性を出していくのが募集の課題になるのではないでしょうか。
・サービスの受け手目線で本当にサービスが作り込まれているのか?
・自分たちの授業やサービスは学生の払う学費分の価値提供ができているのか?
・さらに「日本語教師」が「日本語を教える人」→「学習者の自己実現のためのサービスの提供者」という変容の可能性を示しています。
2.プラットフォームとしての日本語学校
日本語学校自体が各ステークホルダーから活用してもらう場として、教育コンテンツ、リソースを整える流れを作ることが重要ではないかと考えております。
各ステークホルダーの課題解決ができるリソースを用意するという観点でコース設計を行うことで、社会のニーズに合ったブレない教育の軸ができるのではないでしょうか?
このような観点に基づき、教職員が根拠のあるベクトル共有を行い、学習者への明確な価値提供、具体的な社会課題解決の方法論を議論できるような環境ができれば日本語学校業界はもっと盛り上がるはずです。
現在も海外サプライヤー、すなわち仲介業者にコミッションを支払って学生募集しているケースが主流だと思いますが、現地での留学生の払う費用をコントロールできる仕組みではありません。そういったブラックボックスに依存しない状態を作るためには、直接募集できる仕組みづくりが必要になるかと思います。
例えばもし就職支援コースを作るとすれば、企業から奨学金がもらえ、最終的に現地の負担は減り、将来的には高等教育機関と連携もできる可能性もあると思います。就職コースデザインは、「単なる学生募集の武器」と、日本語学校目線のみで考えるのではなく、どうデザインすれば、全てのステークホルダーに必要とされるサービスになるか、という観点が重要になるかと思います。
また、就職コースのデザインは、もちろん教師にとってもメリットがあると考えます。今後JLPT対策はアプリや動画等のより安価なサービスを活用しての自主学習で事足りるようになると考えられます。そのような状況の中で、日本語教師もまた、社会のニーズに合った変容が求められているフェーズであると考えます。就職コースを学校が設け、それに対して出口を意識した教育内容の開発に携わることは、「日本語学校業界」のみならず今後日本社会でより必要とされる「日本語教育業界」での活躍の可能性を持ちます。そのため、教師は、将来のキャリアアップのため、学校は、より質の高い教師人材の獲得のためにも就職コース等の個別具体的な学習者の自己実現につながるサービスの設計が必要になるかと思います。
日本語学校は、
①企業に対する外国人採用のコンサルタント
②地域に対するダイバーシティのコンサルタント
③外国人人材と企業、地域等との接点、となる。
留学生に対する就職支援コースを設置することにより、日本語学校はこのようなプラットフォームとなる可能性を持っています。
プラットフォーマー
プラットフォーマーに関しては二つの話が出ました。
ひとつは、日本語教師が日本語学校をプラットフォームとするためのプラットフォーマーとして活躍する中で、社会課題解決の様々なリソースや、ネットワーク、ノウハウを持つようになり、それにより個々人の価値向上が起こるという点。
もうひとつは、日本語学校が就職支援、就労者支援のプラットフォームになろうとする際に、全ての行動を内省化する必要はなく、寧ろ外部のプラットフォーマーを積極的に利活用することで、外部のプラットフォーマーの動きもより活性化され、シナジーが生まれるという点。
■ディスカッション
発表後、「日本語学校ができる就職支援の勝ちパターンとは?」というテーマでディスカッションを行っていただきました。具体的な内容は、下記の通りです。
■ディスカッション内で出た意見(一部)
・想定するニーズ
介護施設、自動車整備、ホテル事業(コロナ前まで)
・採用条件について
資格がありきになるので、資格取得が大前提
・外部のプラットフォーム
専門学校、日本語学校のお金を企業が出資することで学生の負担を減らせる。
日本語学校、専門学校、企業3つが出資するパターンも考えられる。
・学生募集の既存の方法で合っているかどうか
外れてはいないかなという意見だった。現地の日本語学校兼エージェントをやっている先生を活用するとよりよいのでは?
現地の大学の中にある日本語選考があるところにプログラムを紹介して、してくれた学校に行きたいという学生を集める。
学生が卒業後のために専門的な進路指導をしてくれる先生がいれば、学校としても運営が安定するかなと思った。
・就職までやるには第三者にコントロールされないようにすれば良いのでは
最近、飲食店が特定技能用の学校を開いているところが増えている。そもそも地方は人材が集まらないので、学校を建てて率先してやっていて、雇用体制も自分たちで作っている。
・日本語学校はリソースに限りがあるので、広くなんでもやると全部に対応できない。ニーズがある介護やホテルなどにターゲットを決めてやっていくのが基本線
・技人国ビザについて
能力ややりたいことは個々人でバラつきがある印象がある。
彼らが自分で就職先を探せる知識、技術、日本語にフォーカスしてサポートする。
就活に適応できる日本語を教える。地方の商工会と関係が持てれば、中小企業が外国人採用したいか、どのくらい需要があるのか分かれば、良い関係が作れるのでは?
■本件についてのお問い合わせ
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ご不明な点等ございましたら遠慮なくお申し付けください。
■株式会社Lincについて
Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。またLincはこれまで投資家から累計2億円近くの資金調達を完了しており、この話題が日本経済新聞にも掲載されました。