中国で20年全400大学で 教鞭をとるカリスマ日本語教師からの目線 ~留学生のスピーキングの課題を解決する秘策とは?!~ ウェビナーレポート

5月25日(木)Linc主催ウェビナー

 

中国で20年全400大学で教鞭をとる

カリスマ日本語教師からの目線

~留学生のスピーキングの課題を解決する秘策とは?!~

 

を開催し、日本語学校の先生方及び日本語教育関係者合計61名にご参加頂きました。(ZOOMにて52名、Lincのオフィスにて9名)

今回は、NPO法人日本語スピーチ協会理事長 笈川幸司 氏をお招きし、発表いただきました。

【ご相談】中華圏の学生は読み書きはできるが、会話が苦手な学生が多い

今回は、あくまで学生目線でお話します。

わたしは、語学を習得するには、独学・自学・自習以外に方法はないと思っています。一部の日本語学校の日本語教師は、授業中、一生懸命に語彙や文法の説明をしているそうですが、皆さん、思い出してください。私たちが受けてきた英語授業の6年間で英語をマスターできた学生はいたでしょうか。英語をマスターできたのは、独学で頑張った学生だけでした。では、外国人に日本語を教える時に、なぜ、私たちは「あの」授業と同じスタイルにしてしまうのでしょうか。学生の立場から考えると、あの教え方では成果に繋がりません。しかし、あの教え方をやり続けてしまうのは、私たちが、ほかの方法を知らないからではないでしょうか。

さて、次の課題ですが、わたしは、中華圏の学生は読み書きができるように見えているだけで、本当は、ちゃんと読めていないと思っています。

中国語の知識をフル活用して読み書きをやっているだけだと思います。もちろん、日本語を上手に操ることのできる人はいます。なぜなら、彼らは、自分で努力工夫をしているからです。先ほども申し上げましたが、独学以外に語学習得の方法はありません。学校で習う語彙や文法の説明は、ある程度理解しているかもしれませんが、自由に使いこなすことはできないでしょう。私たちもそうです。

では、中華圏の学生が話せるようになるにはどうすれば良いでしょうか。

「独学」で朗読、暗誦、スピーチを練習する他に方法はありません。日本語学校で「教科書日本語」だけを学んでも、教科書日本語すら覚えることがままなりません。なぜなら、多くの学生たちは、その過程をつまらないと感じているからです。もし、教科書日本語を学習しながら、同時に「タメ口日本語」と「丁寧日本語」も学習すれば、学生たちは違いを発見して、日本語学習を面白いと感じるようになり、教科書日本語を覚えることも容易にできるようになり、試験にも強くなります。一日三食、おかずのない、白米だけの食事をとるのは苦しいものです。

■具体的な教え方について

こちらは「教科書日本語」「丁寧日本語」「タメ口日本語」を並べたプリントです。

中国で文法授業を担当しなかった私は、文法の説明を行いませんでした。使い方やどう違うのかについては説明せず、学生と一緒に何度も朗読しました。「文を覚えないで!頭も使わないで!ただ口を動かしてください!」とだけ伝えました。しかし、学生が「違い」に気づくようになっていきます。文法のルールを自分で見つけ、それが、勉強の喜びに繋がっていくのです。

また、何度も読んでいると、教科書日本語はすぐに覚えられます。

授業中、スピーチの機会を作り、繰り返し実践していくと、最終的に学生は試験にも強くなり、人前で堂々と発表できるようになります。

「笈川さんの学生は、何から何まで違います!」
こんな驚きの声への種明かしをしてしまいました。

では、もうひと推しです。
学生のモチベーションをキープするため、教師の心得として、授業中は90分、とにかく笑顔でいてください。また、学生が正解したらオーバーリアクションをとり、たとえどんなにひどい間違いでも、学生の発言の中から良いところを探して3つ以上褒めてください。常に100%学生を肯定する気持ちでいることが、優秀な日本語教師の最低条件だと思っています。

上から目線で偉そうに話し、自分の思い通りにいかない時に不機嫌な顔を一瞬でも出してしまったら、学生は伸びません。学生は潰れていきます。しかし、これまで無意識に学生たちを潰してきたことに、あなたが今気づいたなら、もうやめましょう。

教師業はサービス業で、日本語教師は優秀な営業マンです。

すべての学生を喜ばせるために教壇に向かいましょう。

とはいえ、「元々決められたカリキュラムがあるから、発音練習やスピーチ練習を簡単に取り入れることはできない」と言われます。どの学校にも他校には言えない事情があるでしょう。それなら、その日の授業の感想を言うタスクを取り入れるだけで、大きな成果に繋がり、キツキツのカリキュラムへの支障もありません。上のプリントをプレゼントしますので、ぜひご利用ください。

こちらは、中国で日本語学習中の学生たちにスピーチ指導をした動画です。

学習歴は9ヶ月。もちろん日本に来たことはありませんが、日本人の先生よりずっと上手でしょう?

これまで日本語教師の心得や学生との向き合い方について話してきましたが、学校の中で、もし、そのような先生がたった1人いれば、日本語学校全体の雰囲気が変わりますし、どの学校でも、そういった教師をたった1人育成できれば、それで良いかと思います。

日本語学校の校長先生、日本語学校の経営者の皆様、たった1人育成することから始めてみませんか?

 

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 ■株式会社Lincについて

Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。またLincはこれまで投資家から累計2億円近くの資金調達を完了しており、この話題が日本経済新聞にも掲載されました。