【日本で活躍している外国人女性に聞く 〜「自分を生きる」キャリアの築き方〜】 セミナーレポート

9月30日(木)Linc主催セミナー

日本で活躍している外国人女性に聞く 〜「自分を生きる」キャリアの築き方〜

を開催しました。

当日は、会場・オンライン含めて180名の方に参加いただき、テーマへの高い関心度が伺えました。

就職苦戦中の留学生、いまの会社で働き続けるのでいいのかを漠然と悩む若手社会人、会社で外国人としての価値をどう発揮していくか悩んでいる中堅社員など、それぞれのキャリアのフェーズで「キャリアの築き方」について外国人ならではの悩みがあると思います。

このような悩みを解決するヒントに少しでもなるよう、今回は新生インパクト投資株式会社取締役の黄さん、大手外資系化粧品会社で研究チームのマネージャーを経って起業した杜さん、また複数の転職を経て現在株式会社メルカリの新規事業部門で活躍している李さんをお招き、「キャリアの築き方」について語っていただきました。

 

▼登壇者プロフィール

杜 垚
株式会社Merry Plus 代表取締役|薬学博士
東京大学理科Ⅱ類に入学
東京大学農学部を首席で卒業
同年東京大学農学部長賞を受賞
東京大学大学院で分子薬学博士号を取得
日本ロレアル株式会社でスキンケア及びヘアケアの研究開発に携わり、マネージャーとして研究チームを率いる
2020年4月株式会社Merry Plusを設立。

 

黄春梅
新生企業投資株式会社 マネージングディレクター
新生インパクト投資株式会社 代表取締役
(中国)上海財経大学 経済学部卒、神戸大学 経営研究科MBA取得。
米国公認会計士、CFA協会認定証券アナリスト、日本評価学会認定評価士

2005年より新生銀行にて一貫して自己勘定投資業務に従事。
ベンチャー投資、バイアウト投資、ファンド投資などを担当、ファンドの投資委員、上場企業を含む複数の投資先及びファンド運用会社の取締役や監査役を歴任。
2017年より新生銀行グループにて、邦銀系初のインパクト投資ファンド「子育て支援ファンド」及び2号ファンド「はたらくFUND」(www.hatarakufund.com)を創設。
GSG国内諮問委員会委員、多摩大学社会的投資研究所客員研究員、日本CFA協会理事などを兼任。
日経WOMAN「ウーマン・オブ・ザ・イヤー2019」受賞。

 

李香玲
(株式会社ソウゾウ・メルカリ 新規事業企画)
復旦大学経済学部卒業
日系建築会社のマーケ部門、アクセンチュアの経営コンサルタント、Amazonの顧客体験調査プロジェクトマネージャーを経て、2019年10月メルカリに入社。Customer Service戦略企画に携わる。
2021年1月より、同グループ子会社ソウゾウにて新規事業のサービス・業務設計に従事。

 

Topic 1 皆さんのキャリアの経歴について簡単にお聞かせください。


黄さん

 上海の大学では財務・投資を勉強していました。数字を扱うのが好きで、日本の大学院で経営管理、その後は米国公認会計士、CFA協会認定証券アナリストなど会計や財務の資格勉強し、新生銀行グループにて同じ投資のキャリアを16年間続けてきました。

 投資を通じて企業や社会のことなど、あらゆる分野において新しい発見と出会うことができます。投資について勉強したり、実際に行うにあたっては、リスク・リターンのことだけでなく企業における業界の実態やシステム、その他社会的要因についての知識も求められるので、収益以外にも投資に携わるメリットはたくさんあります。

 順風満帆に物事が進まない時もありましたが、新しい発見に対するワクワク感を大切にしてきました。実際大きな壁にぶつかったときも、即座に転職を考慮するのではなく、自分の立ち位置ややりたいことをもう一度考え、諦めずにトライし続けることで、眠っている才能や今まで気付かなかった魅力を引き出せたということが少なからずありました。

 


杜さん:

 最初にロレアルに入ろうと思ったのは、ひとえに化粧品が好きだったからです。自分の肌荒れを治すための解決策を大学で見つけようとしましたが、思うように納得できる解決策が見つからなかったため、化粧品会社への就職を選びました。大手製薬会社からたくさんのオファーをもらいましたが、振り切って化粧品会社の道を選びました。当時ロレアルの知名度は大手製薬会社に比べて低く、その差に怯むこともありましたが、それでも自分がやりたかったことを優先しました。これは間違ってなかったと思います。

 ロレアルに所属していた時期に、10日間ほど入院することがありました。診断結果が分からなかった時に、人生について自分自身に問いかけることがありました。「もし重病で余命宣告されたら」と想像すると、スキンケアの開発以外にも、自分にはまだやるべきことがあると思い、Merry Plus設立を決意しました。具体的に何をしたいかはまだ分かっていませんでしたが、もっと自由に化粧品に関する仕事がしたいと感じていました。当時の仕事に対しそれほどパッションがなかったので、ロレアルを退職する方向に舵を切りました。

 

李さん:

最初はこれといってやりたい仕事が特になく、まずは短期間でスキルアップを図るためコンサル業界を目指していました。いろんな業界と触れ合う中で自分がしたいことが見つかるかもしれないと思ったからです。山の頂上を目指すような感覚で、いろんなことを吸収していました。

 当時私は数々のプロジェクトの支援や提案はしていましたが、自分で何かを成し遂げた実績がなく、スキルアップを通じて何か新しいことに挑戦しようと思いました。GAFAは生み出した結果のインパクトが大きい分、組織やサービスの完成度が高いので、個々人の裁量権が限られているように感じました。俯瞰しながら全体のインパクトを工夫できつつも、裁量権の大きい環境を求め、GAFAからより小規模な企業に移りました。規模が小さい分、人と人との関わりが密接で、アイデアや戦略が反映されやすく、0から1の開発も比較的しやすいように感じます。

 私は昔から問題解決が好きで、就職してから最初の5年くらいは問題解決のためのスキルアップを重視していましたが、時間の経過とともに今度は自由な意思決定を大事にするようになり、その後小規模企業に転職しました。このように、その時の自分の考え方にあった環境に身を置くようにしています

 


Topic 2 女性及び外国人として、皆さんが管理職で感じたことを教えてください。

李さん:

 会社に入ったばかりの頃はパフォーマンス発揮を重視していましたが、外国人として日本語に壁を感じました。言語に加え、周りの日本人のスキルの高さにも圧倒されました。そこで私はできることを少しずつ増やしていきました。例えば素早く議事録を作ったり、ファシリテーションを練習したりと、基礎的なことをこなせるようになったこと、環境に少しずつ馴染むようになったと思います。読書もたくさんして、課題解決スキルを身につけることにも注力しました。

 管理職ではチームをまとめる力と積極性が重要です。責任は大きいですが、ゴールを決めて、実現に向けてやるべきことを考え役割分担をし、チームの状況を把握する、といったことができれば難しくないです。困難な状況でも必ず解決策はあるはずですし、失敗を通じて学べることはたくさんあります。失敗を恐れずにチャレンジし続ける姿勢と、諦めずに意志を貫く姿勢は大切だと感じます。

 

杜さん:

 私が管理職に就けたのは、自分の強みを活かせる舞台を見つけられたからだと思います。ロレアルでスキンケア開発をしていた時は、マーケティング部門と話し合いを進めながら新製品開発をしていました。おもしろかったですが、何か物足りない、せっかく博士号を取得しているのだから、もっと難しいことにも挑戦したいと思い、上流の研究職に就きたいとリクエストしました。辛うじて願いが叶い、上流の研究職として半年間のプロジェクトを担当することになったのですが、自分の能力が認められ、特許を申請することができました。

 振り返ってみると、ゼロからの仕事、問題解決力が求められる環境だからこそ力を発揮できたんだと思います。女性が男性より優れている部分や、外国人が日本人に優れている部分はたくさんあるので、劣等感を持たずに、自信を持って活躍できる場所を探すのが良いと思います。

 

黄さん:

 自分のキャリア構築、そして管理職で働くにあたって私は3つのことを重視しています。1つ目は自分にできることを増やしていくことです。自分の専門分野だけでなく、あらゆることを貪欲に勉強することで視野が広がります。私は本業の投資業務と同時に複数のボランティア活動携わってきました。一枚の名刺でなく、複数の名刺を持つことも大事と思います。ドラえもんのポケットのように、様々な知識・スキルを身につけておくことは絶対損にはなりません。

 2つ目はチームプレイです。個人ができることには限界があるため、地位の上下関係なく、いろんな人たちとアイデアをシェアしあったり、支えあったりすることで、新しい発見が生まれます。人間関係の構築もできます。

 3つ目は一歩踏み出すことです。自分を過小評価せず、できるかなと思ったらチャレンジしてみる、勇気をもってアイデアを出してみる、ということが大切です。不安だったら他の人たちにサポートしてもらっていいですし、知っていること、できることは多ければ多いほど良いです。そういう意味ではこれら3つは互いに関連していると思います。

 


Topic 3 今後のキャリアについて考えていることはありますか?

李さん:

 仕事を通じて、仕事に対する自分の価値観を分析していこうと思います。仕事も人生の一部ですので、細かい職種・業界といった具体的なことだけでなく、何のために働くのかなど、抽象的なことを考える時間も必要だと思います。がむしゃらに働くのではなく、一歩引いて自分の仕事に対する価値観について見直すことで、自分が人生で何をしたいか、もしくは大切にしたいのか、などが見えてきます。

 昇進や副業などは多くの人が気にかけることだと思いますが、自分の価値観と照らし合わせた上で、必要だと思ったら迷わずトライして良いと思います。


杜さん:

 時間を大切にして学び続けることを意識したいです。新しい挑戦や出会いは必ず自分の成長に繋がります。昨日の自分から成長した、という達成感を大切にしたいです。そして学んだことを早速次の日から活かすことも大切にしていきたいです。そういった意味では”今後の”キャリアというよりは”明日からの”キャリア、と言った方が良いのかもしれません。私も今回の講演会で李さんと黄さんから吸収できたことを明日から早速実践していこうと思います。


黄さん:

 10年後のことをイメージした時、自分が日本にいるのか、そしてサラリーマンを続けているかはまだ分かりませんが、とりあえず今しかできないことを精一杯やりたいです。人生は長いので、沢山のものと出会い、そこで感じ取ったものを次のステージで活かしたいと思います。

 また、現在大学でインパクト投資に関する講義を行っていますが、起業や投資の醍醐味を若い方に伝える活動を広げていけたらと思います。これも今後のキャリアで是非やりたいことの1つです。

 

イベントレポートは以上となります。イベント動画を視聴したい方は、動画URLをお知らせしますので、以下の連絡先までご連絡いただけますと幸いです。

問い合わせ先:lincintern@linc-info.co.j

担当者名:王川(おうせん)

 

■最後に

今後もLinc Careerでは、インバウンドタレントと企業が出会うきっかけ作りや、インバウンドタレントが在籍している企業同士の交流機会を作っていきます。引き続きよろしくお願いいたします。

 

■当社について

Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。来る“大労働力不足時代”と日本社会のますますの多様化を見据え、Lincはインバウンド・タレントの留学、就職、生活全般といったライフイベントを支える各種サービスを展開するプラットフォームを目指しております。

 

■ 株式会社Linc企業概要

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