他業界からきた経営者の日本語業界について 新たな視点とは?

7月28日(木)Linc主催ウェビナー【他業界からきた経営者の日本語業界について新たな視点とは?】を開催いたしました。

今回は、日頃お付き合いのある日本語学校の先生方、オフライン:7名、オンライン:27名、合計34名の方にご参加いただきました。

 

■登壇者
Fuji Language School 校長
本間 昌治郎氏

 

■当日の流れ
①はじめに
②Fuji Language School 校長 本間 昌治郎氏 発表
③意見交換タイム
④発表タイム
⑤感想及びまとめ

 

■背景及び目的

 日本語教育業界出身ではなく、他業界から転じてきた経営者にフォーカスし、業界に入る前~入った後のギャップや感じた課題などについてお聞きし、他業界出身ならではの考え方や、今まで取り組んできたこと、そして今後の更なる改革を公開することで、今後の日本語学校経営にもお役立てることができれば幸いです。


①はじめに
 「他業界で働いたことがあるか?」というアンケートに対し、申込者40名の約7割が「多業種での職務経験あり」と回答していました。
 この結果から、皆様に他業界で働いた経験を沢山、意見交換会の中でも議論していただきたく存じます。


Fuji Language School 校長 本間昌治郎氏 発表


■経歴紹介
 本間様よりご自身の経歴を簡単にご紹介いただきました。

 1997年、某ベアリングのシェアトップ企業に新卒入社。
 2002年 ヘッドハンティング・人材紹介業界へ転職。
 2006年 人材派遣・紹介会社 役員就任
 2009年 某機会加工会社   設立準備室長
 2011年 同 副総経理就任
 2011年 Fuji Language School開校 


■日本語学校へ進出した背景・要因

これまで、合弁会社を設立、中国人のエンジニアや技能実習生の育成及び派遣などを行っていました。しかし・・・

1.リーマンショックを経験し、1000人いた派遣育成が150人になり、売り上げが85%低下。

2.派遣社員用の社宅マンションを建てたが、政府の帰国プロジェクトにより、外国人社員が帰国。部屋を埋める必要があった。

3.派遣から請負契約への転換があり、勤務形態、人材をこちらが決めることができるようになった。

4.すでに中国の大専、大学、工会との友好関係を築いていた。

5.技能実習生の来日後講習での売り上げが見込める。

 

■日本語学校の授業について

本間様が以前新卒時代から働かれていた自動車、自動車部品の設計製造プロセスを元に説明していただきました。
本間校長先生には具体的な経営像やゴール設定・経営マター(※)を持っていて、それを決めてから、次に何をするべきかを考えます。ゴールとは「卒業時の姿」であり、その姿になるためにどのようなカリキュラムを組んでいく必要があるか、それに基づき授業をどう組んでいくかなど、ロジック立てられた戦略を紹介していただきました。

※マターとは
通常人名、役職、部署名などの後に付けて、 「〇〇担当の案件」といった意味で使う・「マター」は【担当】【案件】【責任】という意味

 「卒業時に理想な姿」になるために、卒業まで1520コマ(2年)で考えると

・カリキュラム:目標に到達するための1520コマの使い方
・進度表:カリキュラムを実行するための工程表

 →卒業するまでに1520コマ必要であり、決められたコマ数を進度表に落とし込み、進度表の流れで授業内容が策定=学校・企業がお客さんに提供するサービスの一部

日本語学校の先生自身がサービスの供給責任を持っているのではなく、学校自体や企業がサービスの責任を持っています。

■日本語学校の教案について

先ほど紹介していたように、
授業=学校・企業がお客さんに提供するサービスの一部
となりますが、では教案は?

教案=教師が準備通り、効果的に授業を行うためのツール=企業が再現性を持ってサービスを提供するための担保

という考え方が大事です。

「ものづくりでもサービス業でも当たり前のことをすること」「普通のことからちゃんとやること」が大事だと認識しています。

■「普通のことからちゃんとやろう」に向けての取り組み紹介

1整理整頓(職員室・教室)

2情報共有

オンライン授業では、スクリーンショットの撮影にて出席確認、Drop Boxを用いて資料共有、進度表フォーマットの統一、Google classroomの使用などを行っている。

■最後に

・基本は全て同じ。基本に忠実にやるべきことをやる。
・良いサービスを提供し続けるためには、再現性の担保。
・属人性を排除し、仕組みを作る。
・常に技術、知識を取り入れ、絶え間ない改善を続ける。

 

③意見交換タイム

「日本語教育業界の価値と課題、解決方法」というテーマで意見交換を行っていただきました。

 

④発表タイム

■意見交換会で出た意見

 ・「誰がやっても同じ形になる」というパズルを例にし説明していただいた本間先生の意見に対し、レゴを元に、レゴのように1つ1つの形は同じだが、組み立ていくと人によって違う形になるように人によって自由性があるのも大切ではないか。パズルのようなやり方とレゴのようなやり方のバランスが大切だと思います。

 ・飲食店でのアルバイトの経験から、実は、チェーン店でも店舗ごとに味が異なる。会社によってある程度の方針は決めているが、実際のところ、地域性も含めて、各店舗に任せている。こういった経験から、会社が決めたことが、お客さんに気に入ってもらえるかは別なのでないか。また、先生方もある程度余裕を持っていないと、自分が楽しんで授業をやることができないのではという意見が出ました。

・テーマと少しズレてしまう部分もありますが、まずは、日本語教育業界で人材不足について話があがりました。人材不足の中でも、教師数と質が不足していると考えられます。他にも、属人的な業務が多く、基盤が確立できていない。費用対効果も担保できていないなどの意見があがりました。最近、日本語教師養成講座から先生を雇用する学校をよく聞きますが、教師の高齢化が問題であるとするならば、新卒採用の定着で課題解決できるのでは?考えています。新卒採用が定着できないのは、知名度が少ない、その後のキャリアを描ききれてない等の理由があげられました。

 

■本件についてのお問い合わせ

①お問い合わせ先:https://www.linc-info.com/contact/

②電話でのお問い合わせ:03-6240-2155(株式会社Linc)まで直接お問い合わせください。 

ご不明な点等ございましたら遠慮なくお申し付けください。

 

■株式会社Lincについて

Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。少子高齢化という、抗えない大きな波が押し寄せてくる日本において、優秀なインバウンド・タレントの増加は日本という国の持続的発展に必要不可欠だと我々は確信しています。そのために私たちはお客様のニーズに応えるべく、常にユーザーである学生や日本語学校をサポートすることによって信頼関係を構築してまいりました。またLincはこれまで投資家から累計2億円近くの資金調達を完了しており、この話題が日本経済新聞にも掲載されました。