多国籍メンバーがいる組織の成長痛~いかに企業カルチャーを確立し、人数・多文化の壁を越えるか~セミナーレポート(パート2)

6月17日(木)にLinc Intern主催のセミナー【多国籍メンバーがいる組織の成長痛~いかに企業カルチャーを確立し、人数・多文化の壁を越えるか】を開催しました。

今回は、初めてのオフライン・オンライン同時開催で行い、お付き合いのある企業の皆さまに加え、留学生や企業で働く社会人なども含めて、合計80名の方にご参加いただきました。(なお、コロナウイルスの感染リスクを最小限に抑えるため、会場参加は20名以下にし、消毒換気を徹底しての開催となりました。)

今回のセミナーは、多国籍の社員をもち、組織の成長課題を乗り越えている3名のゲストをお招きし、LincのCEO仲が「組織成長の壁と多国籍メンバーのマネジメントノウハウ」について伺いました。

一時間半に渡る濃密なパネルディスカッションだったため、パート1,パート2の2回に分けて、イベントレポートをお届けします。

今回のパート2では、「チームワーク編」として、多様なバックグラウンドやカルチャーを持つメンバーが一緒に働く上での課題や、課題を解決するための取り組みや模索についてのディスカッション部分をご紹介します。

※パート1はこちら

ゲストのご紹介
株式会社Ptmind 代表取締役 鄭遠さま(以下、鄭さん)
会社HP:https://jp.ptmind.com/

 

 

TOUCH GROUP株式会社 代表取締役 原田静織さま(以下、原田さん)
会社HP:https://www.touchgroup.jp/#/about

 

株式会社イー・ビジネス 代表取締役 花東江さま(以下、花さん)
会社HP:https://e-business.co.jp/

仲:バックグラウンドやカルチャーの違う人と働くうえでの取り組みについて教えてください。

鄭さん:
課題は常に山程ありますが、主に2つのことを大切にしています。

①チーム内で共通認識を作ること
成果を出すプロセスの中で一番時間がかかるのは、共通認識のすり合わせだと思います。
これがないとメンバーの方向性がバラバラになってしまいます。

②チームの強みを大事にする環境づくり
違うバックグランドですと、お互いが異なる点を見がちですが、その違いを自分にはない強みとして尊重する意識転換を心がけています。

花さん:
弊社は社内だけでなく、パートナーとして日本企業やテンセントグループのような中国企業があるので、日本と中国の文化の衝突が多々あります。

例えば、『仕事の完成の定義』や『分かりました/了解しました』の中身が中国人と日本人で違うこと。
また、商談のときに日本企業は計画性をもって3年計画を出しますが、中国企業はスピード重視で早めにゴールを達成したいため計画も短めに設定する、というような違いもあります。
こういうときに、誰が正しい、正しくないではなく、商習慣や文化のDNAが違うことをまずは尊重し、理解することが何よりも大事だと考えます。

原田さん:
弊社でも日本人メンバーと中国人メンバーがよく喧嘩します。(笑)
例えば、イベント運営でタスクをアサインしたときに、中国メンバーは自分が割り当てられた仕事が終えるとさっさと帰ります。しかし日本人メンバーは全ての人の仕事が終わるまで待つので、結果的に会場に日本人メンバーがしか残ってなくて驚くのです。いつもこれで揉めます。(笑)
日本と中国の『仕事を終える』の定義が違う典型的な例だと思いました。

トリップアドバイザーのときに、某鉄道会社と契約をするときに5年契約をしたいと言われたのですが、トリップアドバイザーはアメリカの会社なので、5年なんてまだ会社あるかどうかも分からないので無理です、となった例もあります。(笑)

仲:具体例も含めてお話いただき、ありがとうございます!お話を伺っているとと3つの点が大事かなと思いました。

①相手の良いところを見ていく
自分とは違うところを悪く見がちですが、相手の良いところをもっと注目すること

②共通のスタンダードを設定する
例えば、やりましたの定義をしっかり決めること

③徹底的にコミュニケーションをとる
文化の違い等をどんどん発信して、認識をすり合わせること

それでは最後に、みなさんが考える理想の組織やチームについて教えてください。

鄭さん:
粘菌という単細胞生物みたいに、一人でも生きていけるし、また大きな目標を達成するときには集まって力を発揮できるような組織になったら理想だと思います。

要は、個人が自信をもって独立して動けると同時に、集団で集まったときに共通した目的を実現するために頑張れる、そして協調性が必要なときは、ある意味頭を働かさなくても自然とコラボレーションできるような組織を作っていきたいですね。

花さん:
細胞繋がりで、スウェーデンのスーパーセルという会社がありますが、一人ひとりがスーパーセルになれる環境を提供したいですね。また、10名のスーパーセルが共通ゴールをもつことで、もっと大きな成功ができると考えます。

他には、会社で働くことで自分自身が成長し、夢を叶えられる会社を作れるとよいと思います。

個人の可能性を無限にできる場面を作れると経営者としてのやりがいを感じられます。まだまだ多くのハードルがありますが、内部メンバーとこういう環境を作れるように実践しています。

原田さん:
プロフェッショナリズムを持ち、オーナーシップを発揮して、成果を出す組織を作りたいですね。

私たちは友達をつくるためではなく、成果を出すために会社にきています。そういう意味では、仲良くなくても成果を出せるプロフェッショナリズムが大事だと思います。

また、オーナーシップについて、勘違いされることも多いのですが、オーナーシップをもって仕事すること=自分が仕事を完成しないといけない、ではないんですよね。

本当のオーナーシップとは、自分の周りのリソースを使って、成果を出すことだと思います。

他にはチーム作りにおいて、自分と異なるコミュニケーションスタイルへ理解し、適時変えることが大切だと思います。例えば、会議を開くときに必ず挨拶してから本題に入る人には、一言挨拶すること。そうすることで相手がComfortable(快適)になるので、良い関係性を築きやすくなります。

IBM社が出した一緒に働くメンバーがどういうタイプか見極める国別の指標(ホフステッド指数)もあるので、参考にしてみてください。

仲:
ありがとうございます!
メンバーのバックグラウンドが増えることで複雑性が増えますが、皆さんの話を伺っていると組織運営において、改めて正解はないのだなと思いました。

また、他社のやり方が一番正しいわけでもないので、それぞれが模索しながら、自分の組織に合う形を探すことが大事ですね。

まだまだお話を伺いたところですが、時間となりましたので、ここで終了とさせていただきます。

本日はお忙しい中、大変ありがとうございました。

 

■最後に
セミナー終了後は、オフライン参加者の方を対象に情報交換も兼ねた交流会を実施しました。
緊急事態宣言解除後ではありましたが、感染リスクを抑えて小さい規模での開催したのですが、皆さま久しぶりの社交ということもあり、大いに盛り上がっておりました。

今後もLinc Internでは、インバウンドタレントと企業が出会うきっかけ作りや、インバウンドタレントが在籍している企業同士の交流機会を作っていきます。引き続きよろしくお願いいたします。

■当社について

Lincではインバウンド・タレントの「日本に来て良かった」を最大化させることで多様性と包容力溢れる社会の実現というビジョンを掲げております。来る“大労働力不足時代”と日本社会のますますの多様化を見据え、Lincはインバウンド・タレントの留学、就職、生活全般といったライフイベントを支える各種サービスを展開するプラットフォームを目指しております。

 ■ 株式会社Linc企業概要

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